ボーカルレッスンとパワハラ

今、スポーツ界ではコーチや監督が選手にパワハラ暴力などを行なった指導が話題になっています。

競技スポーツのような勝ち負けを争うものではない音楽のような世界では、そういう一方的な指導は縁遠いように感じますが、ボーカルスクールの在り方に疑問を持ち始めた頃、いくつかのレッスンを見学させて頂いた際に「これは結構傷つくなぁ。。」という指導がかなり多くあったことを思うと、けっして他人事ではないと感じています。

今でもボーカルスクールで頻繁に起きていること。。

まず、生徒さんの音程やリズムが外れている度に困った顔や冷笑する講師の方がいます。

そして狂っている箇所を何度も何度も繰り返し、それでもできないと「ちゃんと音を聞いてる?」などと言って迫ります。
その間、指導と呼べるものはほとんどなく、講師が大きな声で「正しい音程」を歌って聞かせる行為は、生徒さんにそれができない劣等感を植え付けてるようにさえ感じます。

こんな状況でのびのびと歌うことなんてできませんよね。。

こういうボーカルレッスンを観ていると、「結局、先生は自分のように歌えるか、自分が好きな歌い方しか認めないんだな。」と生徒さんから思われても仕方がないように感じました。

他の項でもお話しましたが、歌には数学のような明らかな正解はありません
正しいリズムも、正しい音程も、一つではなく数限りなく存在します。
そして肝心のボイストレーニングは、それぞれの声に合わせたものでなければ、喉に余計な負担を掛けるだけのものになってしまいます。

誰にでも、自分にしか歌えない歌があります。
そして、他の人の歌をどれだけ上手に真似たとしても、その人の歌を上回ることはありません

自分の考えを一方的に押し付けるのではなく、その生徒さん自身の「自分にしか歌えない歌」を見つけ出し、伸ばしてあげるのが、あるべき指導なのだと思います。
そして生徒さんが困ったり、迷ったりした時に、その先に明かりを灯し続けることが指導の中で最も大切なことだと思うんです。

アリタ・ボーカルスクールは「なぜこのようなレッスンを行ってるのか?」をしっかり説明し、同じ目線で一緒に進んで行くレッスンです。

そして、歌は楽しくなければ意味がありません。
レッスンに通うことで、今まで以上に歌うことや、音楽に関わることが楽しくなる。
そんなボーカルスクールでありたいと思っています。

アリタ・ボーカルスクール室内写真1